『教科書には書かれていない江戸時代』山本博文

はじめに

Amazonのレビューで4.5と高評価を得ていたため購入。

著者、山本博文さんの略歴

1957年岡山県津山市生まれ。東京大学文学部卒業。同大修士課程修了。文学博士。現在、東京大学大学院情報学環教授、同史料編纂所教授。

編纂(へんさん)とは、「多くの材料を集め、またはそれに手を加えて、書物の内容をまとめること。編集。」のことで、編纂所は「史料の調査、収集・複写、分析、編纂、公開を行い、歴史情報学研究を推進することを目的とする」組織である。

僕も歴史の本を読みはじめて、編纂という言葉を知った。 これについては別の書籍で良い感じのことが書かれていたのでそのときに述べたいと思う。

書評・感想

歴史の本は登場人物がかなり多い。そして、理解できない。その中で印象に残った3つのことを述べたいと思う。

切腹

「武士」と「切腹」は切り離せない関係である。この切腹を中心に、"武士"というものが書かれていた。

切腹という観点から以下を学ぶことができた。

  • 武士道
  • 農民から見た切腹事情
  • 海外から見た切腹事情

武士道とは、雑に言うと恥を書くくらいであれば切腹をするという武士の心意気。農民は武士道などないものから、恥をかいても切腹をしない。武士怖いぐらいに思っていたようだ。

海外からみても、なぜ切腹するのか?侍は不思議だ、のように思われていたようで切腹から武士道を学ぶことができた。

戸川伊豆守安愛

幕末を生きた優秀な旗本「戸川伊豆守安愛」について詳しく書かれていた。

僕は日本史について全く詳しくない。しかし、一人のエピソードを通して、幕末史を学ぶことができた。そして興味を持った。

雑に本を読んでいる理由として、気に入った人物や用語を見つけ、そこを更に深堀りして周辺知識を学ぶためだ。

通常の"教科書"は起こった出来事のみと重要な人物(徳川家や井伊直弼など)しか記述されないが、幕末を生きた一人の男のエピソードを通して知識を膨らませられるのがこの本の特徴と言える。

そして今回、この本、この人物を通して「幕末史」の知識が少し増えた。 幕末史・江戸時代に対して、点が多い私の知識に一筋、線が結ばれた。

熊沢 蕃山

江戸に生きた天才、「熊沢 蕃山」について深く学ぶことができた。

彼は江戸を支えたというより、岡山藩の教育を作った人物である。「備前国岡山藩池田光政」に仕え、岡山藩に教育が必要と訴え「池田光政」とともに日本初の学校を開校した。

この人物のエピソードは面白く、登場人物が少なかったからかスラスラ読めた。

池田光政は教育に理解がある藩主であったが、教育に理解がない子が後に藩主となる。岡山藩の教育史と「池田家」、そして、熊沢蕃山を楽しく学べることができた一章であった。

教科書には書かれていない江戸時代

教科書には書かれていない江戸時代

  • 作者:山本 博文
  • 発売日: 2018/08/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

最後に

日本史、そして江戸史について詳しくない僕でも読めた本であった。

まだまだ知識として点が多い中、この本の人物エピソードを通して人物とその周辺に対する知識が点と点が線で結ばれた。

つまりこの本で書かれていることの8割理解できていないが楽しく 学ぶことができた。その8割でも2割ほどは点となった気がする。

今後、本を読み続けることでこれらの知識が線で結ばれるだろう。 そして、2回めにこの本を読んだときにさらなる気づきができるだろう。

ワクワクが止まらない。